×princess misfortune×
「誰が彼女よっ! アンタの変な発言のせいでクラス中に誤解されたの!」



休憩の合間に、家庭科室の冷蔵庫に作り置きしておいたフルーツサンドを取りに来た。



そして何故かついてきた樹野くん。



ついでだからさっきの発言を咎めようとしたものの、



「でも、俺はずっと聖偉ちゃんのこと見てたよ」



何故か急に真剣な顔でわたしを見下ろしている。



なんだろう……。


また裏があるんじゃあ……。



「何それ。気持ち悪い」



いつもの調子で返すわたしに構わず、樹野くんはそのまんまの顔で話を進めていく。



「いっつもしゃんとして、ピリッとして。隙がないってこういう人なんだって初めて思った」



……当然。


昔も今も、そうやって隙を作らずに生きてきたんだもん。



「でも……それが逆にそそられるんだよね。ホントはどんな顔して泣いたり笑ったりすんのかって」




こう言って笑いかけてくる樹野くんは、いつもより柔らかい顔で笑ってた。




「……ちょっと変わってる」


「そう? でも女の子の趣味は悪くないよ」
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