×princess misfortune×
気がついたら、わたしは今まで来たこともない屋上に座り込んで居た。



ぼんやり見上げた空には点々と星が光っていて、



下から聞こえるバンドのベース音や、聞き覚えのあるいっぱいの声も相俟って、わたしの頭の中に流れ込んできた。




そうやってわざと頭の中をゴチャゴチャさせても一緒。



思い出すのは文化祭二週間前のことばかり。



遅刻しそうになって、自転車をパクろうとしたら樹野くんに見つかって……。



……脅迫されながら委員会に巻き込まれた挙げ句何回も何回迫られて……。



初めは嫌だったな……。



ゆっこたちみたいなバカ相手にするのも、



実哉のことがバレるのも、



樹野くんにやたらベタベタ触られるのも……。




それも気がつけば全部受け入れてる自分が居た。




認めたくないけど……そのきっかけをくれたのは全部樹野くん。



どうせ樹野くんにとっては、転校するまでのお遊びだったのかもしれない。



だったらわたしだって……こんなのはただの暇つぶしだったって、




割り切れたら良かったのに……。



そしたらきっと、



こんな風に泣いたりしなかったのに……。
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