×princess misfortune×
「もぉ……。なんでそんなこと言うかな……」



こう言って再び抱き締められた樹野くんの腕に、



やっぱりわたしは安心してる……。



「らしくないよ? 一人だって大丈夫って言わなきゃ」



笑いながら言う樹野くんに、自分でも納得してしまう。



確かに……、こんなこと言うなんてわたしらしくない。



「一人でも……大丈夫っ」



樹野くんを見上げながら言われるままに言ったら、



「ウソつき」



樹野くんは苦笑いした。


「言えって言ったでしょ!」


「ホントに言っちゃダメでしょ」



そんなの狡い……。


「だって! そう言わないとホントにダメになりそうだもんっ!」


さっきまで止まっていた涙がまた込み上げきた。



滲んだ視界に、樹野くんが映る。





わたしだって気付いてる。


……ホントはわたし。



「樹野くんが居なきゃ……わたし寂しっっ!!??」


「だから言っちゃダメって……。俺の歯止めが効かなくなる」


しおらしくこんなこと言ってるけど…………バッチリわたしを押し倒した後だから!!


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