×princess misfortune×
「ちょっとっ!! なんでこういう展開にもっていく訳っ!?」



上に被さって、顔を寄せてくる樹野くんの体を必死に押し返す。



……もちろん効き目は無く、



「聖偉ちゃんが可愛い顔で可愛いこと言ったりするから」



更に更に顔は近付いてくる一方……。


頬にかかる樹野くんの息が、わたしの顔を紅に染めていく。


「アンタには理性がないのっ!?」



真っ赤になりながらも、必死に樹野くんのペースから逃れようともがいた。



そんなわたしを、



「理性はあるけど吹っ飛んじゃうんだよねぇー。聖偉ちゃん見てると」


「耐えろ!!」



余裕綽々、満面の笑みで交わす樹野くん。


「耐えれるわけないじゃん? 俺はいつでも聖偉ちゃんが欲しいのに」


「っっ!!」



今までなんだかんだくっつくことの無かった唇は、



奇しくもあっさりと奪われてしまった……。



わたしに息する隙も与えず、



何度となく唇を押し当てた樹野くんが、わたしの唇を解放した。



それと同時に、



「このまんま全部もらっちゃいたいけど、お預け。一年半後にもらいに行くから」
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