Marriage Knot
そして、私たちは見つめあった。桐哉さんは、私の額、ほお、それから唇にキスをした。私は涙を吸った。桐哉さんの目も、少しうるんでいるように見えた。いつか見た孤独な少年の面影は、どこかに消えていた……。
桐哉さんは、私をソファに誘った(いざなった)。私は満ち足りた気持ちで深々と座った。彼はあのファイルをまためくっていた。そして、一枚のメモを抜き取った。
「僕はデザイナーズブランドを立ち上げようと思っています。留学して、さらに技術を磨いた結さんをチーフデザイナーに招聘しますよ」
「素敵……」
メモを見せてもらうと、たくさんの単語が殴り書きされていた。読めないけれど、きれいな筆記体だ。桐哉さんが前からのぞきこんで、一つの語を指さした。
「これが、僕と結さんのブランド名の候補です」