* switch *
月都君から 私の携帯に連絡が入る。

「月夢ちゃんお待たせ…、俺予約してるから
今から言う場所に来てくれる?」

「あの、部長には月都君からですか?」

「ああ、だから現地集合で お願いするね!」

「わかりました。それでは後程…。」

月都君が指定して来た場所は…超が付く程の、予約が取れない店。

月都君って やっぱり只者ではない人という事を更に感じさせる。

指定場所に行くと、店の前に月都君が待っていて、

「月夢ちゃん、こっちだよ。」とスッと慣れた感じでエスコートしてくれる。

その時に自然と腰を抱かれ 体がビクンとなる。クスリと月都君が笑い、

「どうしたの?」

と わざとらしく聞くから

「いいえ…。」

顔を固まらせて 精一杯の見栄を張ってしまう。多分 月都君にはバレバレで恥ずかしい。

席に付くけれど、待っても部長は現れない。

「あの…うちの部長は 遅くなるんでしょうか?」

「ああ、部長さん急に都合が悪くなったとかで、今日は二人だよ。だから気兼ねなく話が出来るから、月夜ちゃん ラッキーだよ。」

心の中で「え~」の大合唱…。

余り良く知らない人と しかもお酒飲むとか あり得ない。どうしょう?

「どうしたの?月夢ちゃんは お酒飲めないの?」

「はい、私弱くって お兄ちゃんにも 外では飲むな!って言われる位です。」

「ふ~ん、そうなんだ。だけど軽いお酒もあるし、本当は色々飲みたいでしょ?」

「わかります?お兄ちゃん何かにつけて煩いから 私には自由がないんですよ。」

「そしたら これなんか アルコール少な目だし、飲みやすいから月夢ちゃん飲んでみる? 」

キラリ目が光る月都の事を見ずに 月夢は注文する。

美味しい料理に、少し背伸びをしたお酒。
普段とは違う シチュエーションに正に酔ってしまったのであった。


この後 月夢が酔い潰れるのを 今か今かと楽しんでいる月都を隣に 「これ美味しい…」 天然満載で笑っている月夢を 美味しく頂こうと腹黒月都はニヤリと笑うのであった…


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