* switch *
コンコン…控え室にドアをノックする音がした。

姿を現したのは この前以来の月都君。

「今日はお越し頂き ありがとうございます。」

「深山専務 招待頂き ありがとうございます。」

部長と月都君が挨拶をしている。私はこの前の事を思い出し 身構えながら様子を伺う。

「朝倉さん、今日はまた一段と美しい。一瞬アイドルの控え室かと思いました。」

よく言う…月都君は今日いつもよりドレッシーなスーツを着こなし 一般人ではない芸能人オーラを放出しているというのに?

「お世辞でも嬉しいです。ありがとうございます。」

「朝倉、僕もそう思ってたよ。アイドル軽く越えてると思う…」

「今日は新薬の発表の時に、軽く朝倉さんからのコメントを頂けたら、ビジュアル的にも華やかになるので、お願い出来ないでしょうか?」

「え?」

いきなりのお願いに動揺が半端ない。

「月夢ちゃん、ダメかな?」

そんな時に お兄ちゃんの友達面する月都君はかなりあざとい。

「朝倉さんの 難しい薬の発表じゃなく、どんな気持ちで この薬を開発したかのコメントで 皆様に分かりやすく 解説の説明したらいいんじゃないか?」

「そうですね。まさにそんなコメントを待っています。」

「はぁ 急に言われたので 失礼しました。出来るだけ 場を白けさせない様に 頑張ってみますので、よろしくお願い致します。」

ただ 会見を見るだけから、自分も参加とか 思わぬミッション。

だけど、薄っぺらい思いじゃない事だけは ちゃんと伝えたい。

まさか 後でえらい事に巻き込まれるなんて、この時は考えもしなかったのであった…




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