* switch *
俺は目を瞑った────。

月夢が無事に過ごせる手立てを翔から聞いたのだけれど、あいつは 肝心な事をあやふやにして、はっきりとは教えてくれていない。

さっき 二人で逃げるという事が 一番ひっかかる。

あれ?月夢の匂いが近付いて来る?ソファに座っていた俺の側にいる気配がする。

目を瞑るのは 何の為になのか?
月夢はかなり頭がキレるから、考えがあっての行動だとは思う…

「んっ。」

いきなり唇に柔らかな感触がして、月夢の匂いが鼻から強烈に入り込む…

えっ?頭が回らない──────時間がストップしたみたいに、甘い媚薬のようなキス…。

そっと 手を広げて月夢であろう体を抱き締める…ああ、こんな幸せな時が来る事なんて、夢なのか?

長いようで 本当は短い間のキスが終わり…余韻に心毎どこかへ行っていた俺は、目を開けてしまった…

ただ、目の前の月夢をみたい衝動に我慢が出来なくて…




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