* switch *
昼過ぎに パソコンでデータの打ち込み作業をしていると、課長に呼ばれ席を離れる。


「朝倉さん、上の会議室でちょっと話があるんだけど、もし話の内容でイヤだと思ったら断ってくれても構わないから、無理はしないでね。」


もう話を聞く前から 厄介事に巻き込まれる感じが否めない。


会議室には…久しぶりに見る 月都君が座っていて、こっちに気付き笑っている。


「やぁ 月夢ちゃんお久しぶり。」


STAR☆ホールディングの専務として 仕事で来ている月都君に 精一杯の社会人として接する。


「お久しぶりです。専務、今日はどうされたのでしょうか?」


「専務──ね?月都君って呼んでくれたりはしないのかな?」


はぁ?この人…公私混同し過ぎでしょ?


「いや、ここでは仕事ですので、私は専務としてのあなたと話をします。」


「それならば、専務としてお願いをしにきました。」


専務としてお願い?


「STAR☆ホールディングのCMに 朝倉さんを是非起用したいのです。

朝倉さんの顔とうちの商品がコラボすれば 宣伝効果がかなり倍増されると予想。

君が 研究員って事を十分考慮して、わが社とコラボした暁には、今後君の研究費を 全額援助という、会社にとってもウィンウィンな契約だと考えています。

いかがでしょうか?」



え────、研究費用を全額援助って。
後ろに振り返り課長を見ると…


「専務 今すぐには即答は出来ませんので、日にちを頂けませんか?」


「勿論です。3日後にまたこちらに参りますので、その時に良い返事を頂けますよう、お願い致します。」


何とも 大変な爆弾発言をして、月都君はニヤリと笑って 私の横を通り過ぎ 帰って行った。




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