* switch *
コンコン…

暫くじっと抱きしめられていたけど 会議室の扉をノックする音で二人は離れた。ガチャと開けて入って来たのは お兄ちゃん。


近すぎる距離にお兄ちゃんが速攻牙を剥く。


「月夢。志木君に何かされたのか?」


「お兄ちゃん いきなり挨拶もなしに びっくりするし 志木君に対して失礼な態度だよ。」


「あっすまない。今晩は志木君、また会ったな。えらく月夢に寄り添ってる気がするんだけど、気のせいかな?」


「今晩は、いえ僕は疚しい事は何もしていません。朝倉が何か悩んでいたみたいなので、同期として 側にいてあげただけです。」


「そっか、なら悪かったな…月夢、それで会社サイドはどう対処するのか 提示はまだか?」


「今 重役会議が開かれていて、私は指示を待っているところだよ。」


「朝倉、俺ちょっと様子を見てくるね。」


志木君が会議室を出て 私はお兄ちゃんと二人きりになってしまい、少しだけ気不味い。


「ほんとは 志木月夢に何かしてたんだろ?違うか?」


お兄ちゃんにも やっぱり抱きしめられてしまう。


「何かあったら直ぐに俺に頼れよ。もしも 月都の会社に売る様な事になったら、お前はどうするつもりなんだ?」


「それは…」


本当にそうなったら────
私はどうしたらいいんだろうか?




< 214 / 228 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop