* switch *
コンコン…会議室に課長が入って来た。


「朝倉、あっ…こちらの方は?」


お兄ちゃんは私から身を引いて 挨拶をする。


「課長、私の兄です。」


「朝倉月夢の兄です。いつも月夢がお世話になっております。」


「あなたがお兄さんなんですね。私は朝倉の上司の間宮です。今回は…面倒な事に巻き込まれて 本当に申し訳ないです。」


「課長、それで私はどうなるか 会議は終わったのでしょうか?」


「ああ、それが…再度あちらと話し合いをして、検討するという事になった。

何も答が出せないとは、情けない話なんだが…上としたら、お前の研究技術も成果もこの会社にとっては宝なんだよ。どちらも天秤には掛けられない。」


「そうなんですね。まだ決まらなかったって事ですよね。わかりました。俺に1つアイデアがあるから、アイツに投げてみるよ。」


少しだけ、お兄ちゃんがいつもより格好いいと思った。見慣れたお兄ちゃんなのに…何故か───。


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