* switch *
車で少し走り、駐車場らしき場所に車が止まる。

「月夢ちゃん、着いたよ…」

また回り込んで 翔君がドアを開けて私を助手席から 立ち上がらせてくれる。

いつも自然にエスコートしているのは、彼女にしているから慣れているのかな?考えたら悲しくなる…

翔君はそのまま手を繋いだまま、私を店に連れて行く。

「ほら、月夢ちゃん もうそんな顔しないで…俺の隠れ家に連れて来たんだからね…」

ってここは?お店なの?絶対 一般人は気付かないと思う店構えなんだけど…

「フフ…ちゃんと営業してるし、中は面白いから…」

扉を開くと…ランプがたくさん吊るしてあって、幻想的な空間だ。

「ここね俺が大学の時のバイト先なんだ…」

「すごいお洒落な店…翔君バイトしてたんだ…」

「暗いから気を付けてね…」

元々繋がれている手に力が入る。

「あっ。翔じゃないか…久しぶりだな…ん?また凄いべっぴんさん連れて来てるじゃない…」

「オーナー久しぶりです。結弦の妹の月夢ちゃんです。」

「結弦の妹?流石、結弦の妹…美人の格が違うな…」

「こんにちは月夢ちゃん。今日は楽しんでね…」

「こんにちは。兄の事も知っているんですね…」

「ここでは、翔と結弦がバイトしていて店の顔だったからね…」

「オーナー、もうそのくらいにして下さいよ…奥の個室空いてます?」

「ああ、空いてるよ。へぇ…月夢ちゃんが結弦の溺愛している妹ね…成る程 こりゃあ可愛くて仕方ないわ…」

「月夢ちゃん、おいで…」

店の奥にある個室に入って座る。

「ここはね、ライブハウスなんだよ…今日は大人し目のメンバーかな?もうすぐ始まるから…」

ステージには ピアノやら、キーボード、ドラムなどが置かれていた。

個室に入れば ステージは見えないけれど、音だけは聞こえる。

「翔君とお兄ちゃんがバイトを ここでしてたなんて意外だよ…」

翔君がバイトで フードやドリンクを運んだり、音響、ライトもしてたからと聞いて驚いた…

「色々なバンドの人とも 繋がりか出来たし、ここでは沢山の社会の事が学べたかな?楽しかったよ…」

「///お兄ちゃんも翔君もモテモテだったでしょ?だって 格好いいもん…」

「///あ~結弦はモテモテだったよ。俺はそうでもないよ…」

あ~絶対嘘だ…翔君イケメンなのに、自覚ないの?

コンコンとノックされ、突き出しを持ってきたオーナーが

「翔はね、伊達眼鏡して髪を伸ばし顔を隠して、イケメンを隠してたんだよ…だから 結弦ばっかり無駄にモテてたよ…」

「オーナー。黙って欲しいな…。俺格好悪いから…」

それは私としたら嬉しい翔君の過去だよ。こんなに格好いい翔君がモテない訳ないもん…
私も 昔の翔君を見たかったなぁと思った…

「俺はね、1人だけにモテたいから…」

「ほぉ…成る程。で翔が今日来たのは何故かな?ハハ…」

「///オーナー勘弁して!」

二人の話のやり取りに 付いていけない私は
ニコニコしながら 笑っていた…

翔君が照れてる姿はレアだ…って思いながら…




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