【短編】甘えないで、千晶くん!
「っ、あのね?」
「うん?」
「この間の、質問の答え、今言っていい?」
鼻水のせいでうまく喋れないけど、今しかない。
「私、ヤキモチ妬いてほしかったの、千晶くんに。だから佐藤くんのこと言ったの…っ」
「…うん」
「あと、千晶くんに彼女ができるのは、いやだよ。田中先輩でも、いや…!」
「……うん」
「っ、でも!千晶くんの好きな人は、わかんない…っ!」
「え」
「わ、わかんないけど…っ、私は、千晶くんのこと、好きだよぉ…!」
ほんと、いつになったら泣き止むんだろう?
とめどなく溢れてくる涙に我ながら引きつつ、千晶くんの背中にぎゅっとしがみつく。
「結局最後、分かんないんじゃん」
「だって、分かるわけないじゃん!ていうか、当てたくないしっ」
「…全然ダメ」
「え、ちょ、きゃっ…!」
私を抱きしめたまま千晶くんが前に体重をかけてくるもんだから、そのまま座っていたベッドの上に押し倒されて。
「…俺、好きでもない子にこんなことするほど見境ないと思われてんの?」
「へ……」
「超心外。超むかつく。」