【短編】甘えないで、千晶くん!
作戦は見事成功。
そしてその報酬としてこの人気カフェのパンケーキを奢ることになっていたので、今日こうして足を運んだというわけで。
「幼なじみちゃんは今日のこと知ってるの?」
「言うわけないでしょ。説明するにもダサすぎるし、説明しないにしても怪しまれる」
「そうだけど、内緒できてるのバレちゃったらそっちの方がヤバいんじゃないの?」
「まあバレなきゃ問題ないよね。」
デートの日にちを盗み聞き、それに合わせて行動して、席を決めている2人の近くに田中先輩を送り込んで席番号を把握。そしてその隣を確保して偶然を装った。
我ながらストーカーかと突っ込みたくなるけれど、それくらい必死だったんだ。
ということで、こんな感じで紗和を他の男に取られるのが嫌で協力してもらってました。なのでそのお礼にパンケーキを奢ってきます。
…なんて、改めて考えてみるとクソダサい。
今まで俺がどれだけ紗和の前でカッコつけて生きてきたことか。
道端ではさり気なくスクバ持ってやったり、絶対に車道側は歩かせないように気をつけたり、髪型やメイクが変わったらすぐ反応してやったり。
それが全て台無しになるくらいにはクソダサい。うん。やっぱり言わなくて正解。
別に、パンケーキ食い終わったらそのまま解散するだけだし。
何にもやましいことはないわけ、だが。
「………千晶くん」
「………まーじか」
神様のクソッタレ。