【短編】甘えないで、千晶くん!
「次、最後。俺の好きな人、誰だと思う?」
「え…」
「これに全部答えれたら、ご褒美あげる」
ご褒美って、なんだろう。
お菓子?それとも、この間欲しいって言ったぬいぐるみ?
ううん、そんなことよりも。
「…バカ紗和」
ひどく悲しそうに笑う千晶くんが、気になるよ。
「ち、千晶くん、私…っ、ひゃ、あっ」
「…紗和がその気なら、俺だって考えるよ」
ぐいっと無理矢理上げられた前髪。
ちゅ、と小さなリップ音が響いて。
人より広いことを気にしていたおでこに残る、柔らかい感触。
「バイバイ、紗和」
唇を落とされたおでこをおさえながら、部屋から出ていく千晶くんの背中を見届けるしかない私。
…バイバイって、どういうこと?