【短】キミに好きになってもらう10の方法
10つめ。
「好きって……」
そのことに気づいたらしい光希くんは、顔を真っ赤にして口を塞いだけど、もう手遅れ。
「……最悪」
光希くんはそう言うと、立ち上がって私の目の前に立った。
「ちゃんと言おうと思ってたのに、
うっかり口滑らすとか……」
光希くんは自分の黒髪を耳にかけた。
ドキドキと心臓がなってるのがわかるし、光希くんにも聞こえてしまいそう。
「好きだよ、センパイ」
彼のその言葉は、一生言われることはないんじゃないかと思っていたものだ。
「本当に?」
「嘘言ってどうすんですか」
「なんで、私なんかのこと……」
「……一生懸命なところ?」
「ばかぁぁあ」
私はそのまま光希くんに抱きついた。
光希くんは少し後ろによろけたけど、私をしっかり抱き止めて、頭ごと抱き寄せてくれた。
キミに好きになってもらう方法、そんなのはなくて。
彼に一生懸命、ぶつかることが大事だと知った。
【完】