【短】キミに好きになってもらう10の方法
4つめ。
「光希くんいますか?」
1つ下の学年の教室。
私は調理実習で作ったマフィンを手に光希くんの教室へきた。
「またアンタ?」
光希くんは、私を見て溜め息をついた。
ショックなど受けません。
こんなの想定内です。
「何の用ですか?」
「授業で作ったんだけどよかったら」
私の差し出したマフィンに周りが、あ~と言う。
まるで、残念だったな、とでも言うように。
「俺、甘いの無理なんです」
それで周りはこの反応か。
でもそれも想定内。
「大丈夫、これ甘くないから!」
「は?」
光希くんは驚いた顔してる。
そんなの調査済みです。
ストーカーではありません。
「……一個だけ」
光希くんは相当迷った挙句、2つ入りのマフィンを1つだけ食べた。
1つ余るのもあれだから、私も一緒に食べた。
何口かで食べちゃった光希くんは、
「……うまかった、」
って言った。
キミに好きになってもらう方法 【その4】は、
家庭的な女の子であることだ。
満足そうな私に、彼は手を伸ばして、
「ついてる、」
と私の頬についた粕をそのまま口に運んだ。
「……っ!」
これは、想定外だ。