【短】キミに好きになってもらう10の方法

5つめ。








パキッ

パキッ




図書室。

隣からシャー芯が折れる音がする。




「……光希く」

「うるさい」



彼は機嫌がすこぶる悪いようだ。




「……相談乗ろうか?」



「アンタに話すことはないです」





今日は当番の子が休んでしまったので私が代わりを喜んで引き受けた。

……のに。

光希くんは数学の問題を解いていて、それが丁度行き詰まっているようだ。



頭がいいのは知っている。

貼り出される名前は、いつも上の方にある。




問題を覗き込むと、発展中の発展問題。


これは大学受験レベル……





けど、頼ってくれないからなんか悔しい。





「光希くん、これはこう解くんだよ」


だから、横から彼のシャーペンを取ってノートの余白に計算式を書いた。


眼鏡の奥の目が、丸々として驚いているのがわかる。





「……センパイ、頭いいんですか」



「バカじゃないのが好きなタイプなんでしょ」




こう見えて、学年で上から3番目です。





「……ありがとう、ございます」





初めてお礼を言われた。







キミに好きになってもらう方法【その5】は、




彼を気にかける女子であることだ。



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