『来年の今日、同じ時間に、この場所で』
きっと私1人では絶対に行かないような
おしゃれなBARで
期待外れの仕事の話をした。
とても熱心に話すベンの言葉に耳を傾けようとしたけど、
今日はそんな気分じゃなかった。
それは、途中で席をはずした時に
テーブルに置かれたベンの携帯の画面を見てしまったからだ。
ベンの携帯を鳴らす相手は
「花音」
きっと
あの日見た彼女の名前だ。
席に戻ってきたベンは
着信履歴を見るなり少し眉を歪ませポケットにしまった。
「大事な御電話ならどうぞ」と勧めたけど
笑顔で「大丈夫」と断った2人の仲は
これが当たり前の信頼感からなのか
それとも逆なのか…
後者に期待している自分がなんだか嫌になった。
「富士屋さん、聞いてます?少し疲れちゃったかな?」
「あ、ごめんなさい!大丈夫です」
「今日は帰りますか?」
「帰りたくないです!」
…ゃだ。私何言っちゃってるんだろ。
咄嗟に聞かれたから変なこと答えちゃった。
慌てて言い間違えだと訂正しようとした時‼︎
「そんな言い方、男の前でしちゃダメですよ。男は勘違いして期待しちゃうかも?」
…え。
なんか、昔のベンと対応が違う。
今私の目の前で話している人は
1人の知らない男の人のようだった。
「ま、前田さんも…ですか?」
私、酔ってるのかな…口が勝手に先走っちゃう。
ベンは少し意地悪そうに、
「かもしれないよ!」と笑顔で言った。
今の私は
昔の男扱いされてた私じゃないから…
今なら何でも言える気がした。
「そんなこと言われたら、期待しちゃうな」
どうする?
なんて答える?
あんなに可愛い彼女がいて、
あなたはなんて答えるの?
「じゃあ、今日は帰りましょう。」
…だよね。
調子にのってしまった自分に早速後悔した。
ベンの彼女にも、申し訳なく思った。
また嫌な自分が出てきてるな…。
ほんと、やだ。
BARにタクシーが来るまで、
仕事の他愛ない話をした。
運転手にスマートに前払いをする姿は
とても手慣れていて私に断ることもさせてくれなかった。
「今日は、ありがとうございました。
明日早速そのご提案を参考にさせていただきます。お疲れ様でした。」
私は定型文のような挨拶をしてタクシーに乗り込もうとした時にベンが言った言葉に耳を疑った。
「富士屋さん、次回は仕事ではなく
プライベートとしてお誘いしますね」
空白の10年間は
どうにもならないけど…
これでやっとスタートラインにたてると思った。
神様がくれたこのスタートラインのチャンスを今度こそ逃したくないと思った。
おしゃれなBARで
期待外れの仕事の話をした。
とても熱心に話すベンの言葉に耳を傾けようとしたけど、
今日はそんな気分じゃなかった。
それは、途中で席をはずした時に
テーブルに置かれたベンの携帯の画面を見てしまったからだ。
ベンの携帯を鳴らす相手は
「花音」
きっと
あの日見た彼女の名前だ。
席に戻ってきたベンは
着信履歴を見るなり少し眉を歪ませポケットにしまった。
「大事な御電話ならどうぞ」と勧めたけど
笑顔で「大丈夫」と断った2人の仲は
これが当たり前の信頼感からなのか
それとも逆なのか…
後者に期待している自分がなんだか嫌になった。
「富士屋さん、聞いてます?少し疲れちゃったかな?」
「あ、ごめんなさい!大丈夫です」
「今日は帰りますか?」
「帰りたくないです!」
…ゃだ。私何言っちゃってるんだろ。
咄嗟に聞かれたから変なこと答えちゃった。
慌てて言い間違えだと訂正しようとした時‼︎
「そんな言い方、男の前でしちゃダメですよ。男は勘違いして期待しちゃうかも?」
…え。
なんか、昔のベンと対応が違う。
今私の目の前で話している人は
1人の知らない男の人のようだった。
「ま、前田さんも…ですか?」
私、酔ってるのかな…口が勝手に先走っちゃう。
ベンは少し意地悪そうに、
「かもしれないよ!」と笑顔で言った。
今の私は
昔の男扱いされてた私じゃないから…
今なら何でも言える気がした。
「そんなこと言われたら、期待しちゃうな」
どうする?
なんて答える?
あんなに可愛い彼女がいて、
あなたはなんて答えるの?
「じゃあ、今日は帰りましょう。」
…だよね。
調子にのってしまった自分に早速後悔した。
ベンの彼女にも、申し訳なく思った。
また嫌な自分が出てきてるな…。
ほんと、やだ。
BARにタクシーが来るまで、
仕事の他愛ない話をした。
運転手にスマートに前払いをする姿は
とても手慣れていて私に断ることもさせてくれなかった。
「今日は、ありがとうございました。
明日早速そのご提案を参考にさせていただきます。お疲れ様でした。」
私は定型文のような挨拶をしてタクシーに乗り込もうとした時にベンが言った言葉に耳を疑った。
「富士屋さん、次回は仕事ではなく
プライベートとしてお誘いしますね」
空白の10年間は
どうにもならないけど…
これでやっとスタートラインにたてると思った。
神様がくれたこのスタートラインのチャンスを今度こそ逃したくないと思った。