『来年の今日、同じ時間に、この場所で』
昨日はよく眠れなくて
カーテンの隙間から朝日が漏れる頃
ようやく寝付けたかと思った矢先
騒がしくインターホン音が鳴った。
慌ただしく部屋に入ってくるなり
強く抱き締めたのは
昨日の一件があったからだと
すぐに理解が出来た。
「痛いよ…ベンどうしちゃったの?」
いつものベンの甘い香りと混ざる
かすかな汗のにおいが
ここまで急いで来たことを教えてくれていた
「もう、いなくなったのかと思った」
そうひとこと言うと
ホッとしたような笑顔を少し見せた。
「珈琲でも入れようか?」
ベンの腕をほどこうとすると
「どこにも行くな」と、また抱き寄せた。
あゝ
またベンの言いなりになっちゃう私がいる。
こんな時こそ彼女の話を聞けるのに…
ベンの腕の中が心地よくて
また言えない。
それでも「すき」とは言ってくれないし
確かめる術もない。
大人になる程、「すき」のサインがわからなくなる。
心では泣く寸前なのに…
ほんと不甲斐ないけど
ベンの吐息を耳元で初めて感じながら許してしまったのは今日が日曜日だからかな…
私も寝不足で、
ベンも名古屋帰りに朝イチで私の家へ来たから、きっと寝不足で…
そのまま2人はいつの間にか眠りについてて
目が覚めたら
カーテンから漏れる光はオレンジ色にかわっていた。
最初に目を開けたのは、きっと私で…
変わらず隣にベンが居てくれることが嬉しくて何度も目を閉じては開けてみた。
「さっきからなにやってんの?」
バレてた?
閉じた目を、そのままにして
今更寝たふりしてもバレてるよね?
それでも照れ臭くて目を開けずにいると
優しく前髪を撫でて
「ここにいるよ」て言ってくれた。
寝たふりするのも
何度も瞬きしてベンの寝顔を確認してたのも
全部お見通しなんだね。
観念して目を開けると薄暗い部屋に
乱雑に脱ぎっぱなしになってるシャツを見て
急に気恥ずかしくなった。
「やらしっ。なに想像してんの?」
「はあ?そ、想像なんてしてないし‼︎」
ベンに背中を向けた。
あれ?もしかして…
ベッドの脇に置いてあるドレッサーの椅子に
かかっているジャケットの胸ポケットに
見覚えのあるものが見えた。
おもむろに起き上がり手を伸ばした。
「このシャーペン‼︎」
間違いないっ!
このシャーペン、私がベンに貸したシャーペンだっ!
「大事なモノだから、元に戻しといて。」
大事なモノ?
もしかして!覚えてるの?
「なんで大事なモノなの?」
思わず身を乗り出して問い詰めた。
「あのさ」
(あー!咄嗟に聞いちゃったけど!
聞いちゃって良かったんだよね?)
ベンの口から出る言葉が急に怖くなった。
「なに!?」
「丸見えだよ」
「!!!!!?☆◇凹☆‼︎」
私のシャーペンを
未だにベンが持ってくれてたことに興奮し過ぎておもむろに上半身を堂々とさらけ出していたことに気づかされ慌てて布団で隠した。
「まぁ、眺めは最高だし俺はいいけどね」
「ちゃ、茶化さないでよ!真面目に聞いてるの!」
ベンの表情が急に険しくなった。
「俺、中3の時に事故して記憶が所々ないんだけど…そのシャーペンが大事なモノってことだけは覚えてんだよね」
「うん、うん。それで?」
舞い上がったのも束の間…
「それだけ。」
「え?なにそれ。」
「あ!今馬鹿にしただろ?」
「してない!するわけないじゃん!
だって!それは…‼︎」
と言いかけてやめたのは…
「なにが大事なのかは思い出せないんだ」
てベンが言って背中を向けたから。
(あ…背中の傷。)
ベッドに腰を掛けてズボンを履く姿をみて
大きく背中に傷跡があることがわかった。
私はその傷を包み隠すようにカラダで覆った
「大変だったね…」
シャーペンは大事に持っててくれたのに
肝心なことは覚えてないんだね。
でも、「大事だ」って
言ってくれたこと、すごく嬉しかったよ。
「ゃわらけ。」
(…あ。また裸だったの忘れてた)
「もう!すぐそうやって茶化すんだから!」
すぐさま離れようとするとベンは
私の両手首を掴んだ。
「そのままで居て」
「でも…」
「いいから。」
力を緩めた…
そして、ベンの肩に顎をのせた。
ベンもまた私の手首を掴む指を緩めて
私の頬に手をあてた。
暖かい手のぬくもりと
左指のシルバーリングの冷たさを感じた。
ねぇ。
今なら聞いても罰は当たらないよね?
「指輪…」
「あぁ。うん。」
強引なキス。
私を強く押し倒す左手。
あぁ。うん。しか言わないのは?
どうして?
また私を抱こうとするのは?
どうして?
男の人が女の人を抱くのは
「愛してるから」だけじゃない。
だから、大人になればなるほど
純粋さだけじゃなくなるから分かりづらい。
私とベンの間にある
見えない糸が切れそうになると…
ベンはそうやって私を欲する。
私もまた
その細い糸が途切れないように
必死で繋ぎ止めようとするんだ。
そう…
言いかけたコトバを全て飲み込んで…。
カーテンの隙間から朝日が漏れる頃
ようやく寝付けたかと思った矢先
騒がしくインターホン音が鳴った。
慌ただしく部屋に入ってくるなり
強く抱き締めたのは
昨日の一件があったからだと
すぐに理解が出来た。
「痛いよ…ベンどうしちゃったの?」
いつものベンの甘い香りと混ざる
かすかな汗のにおいが
ここまで急いで来たことを教えてくれていた
「もう、いなくなったのかと思った」
そうひとこと言うと
ホッとしたような笑顔を少し見せた。
「珈琲でも入れようか?」
ベンの腕をほどこうとすると
「どこにも行くな」と、また抱き寄せた。
あゝ
またベンの言いなりになっちゃう私がいる。
こんな時こそ彼女の話を聞けるのに…
ベンの腕の中が心地よくて
また言えない。
それでも「すき」とは言ってくれないし
確かめる術もない。
大人になる程、「すき」のサインがわからなくなる。
心では泣く寸前なのに…
ほんと不甲斐ないけど
ベンの吐息を耳元で初めて感じながら許してしまったのは今日が日曜日だからかな…
私も寝不足で、
ベンも名古屋帰りに朝イチで私の家へ来たから、きっと寝不足で…
そのまま2人はいつの間にか眠りについてて
目が覚めたら
カーテンから漏れる光はオレンジ色にかわっていた。
最初に目を開けたのは、きっと私で…
変わらず隣にベンが居てくれることが嬉しくて何度も目を閉じては開けてみた。
「さっきからなにやってんの?」
バレてた?
閉じた目を、そのままにして
今更寝たふりしてもバレてるよね?
それでも照れ臭くて目を開けずにいると
優しく前髪を撫でて
「ここにいるよ」て言ってくれた。
寝たふりするのも
何度も瞬きしてベンの寝顔を確認してたのも
全部お見通しなんだね。
観念して目を開けると薄暗い部屋に
乱雑に脱ぎっぱなしになってるシャツを見て
急に気恥ずかしくなった。
「やらしっ。なに想像してんの?」
「はあ?そ、想像なんてしてないし‼︎」
ベンに背中を向けた。
あれ?もしかして…
ベッドの脇に置いてあるドレッサーの椅子に
かかっているジャケットの胸ポケットに
見覚えのあるものが見えた。
おもむろに起き上がり手を伸ばした。
「このシャーペン‼︎」
間違いないっ!
このシャーペン、私がベンに貸したシャーペンだっ!
「大事なモノだから、元に戻しといて。」
大事なモノ?
もしかして!覚えてるの?
「なんで大事なモノなの?」
思わず身を乗り出して問い詰めた。
「あのさ」
(あー!咄嗟に聞いちゃったけど!
聞いちゃって良かったんだよね?)
ベンの口から出る言葉が急に怖くなった。
「なに!?」
「丸見えだよ」
「!!!!!?☆◇凹☆‼︎」
私のシャーペンを
未だにベンが持ってくれてたことに興奮し過ぎておもむろに上半身を堂々とさらけ出していたことに気づかされ慌てて布団で隠した。
「まぁ、眺めは最高だし俺はいいけどね」
「ちゃ、茶化さないでよ!真面目に聞いてるの!」
ベンの表情が急に険しくなった。
「俺、中3の時に事故して記憶が所々ないんだけど…そのシャーペンが大事なモノってことだけは覚えてんだよね」
「うん、うん。それで?」
舞い上がったのも束の間…
「それだけ。」
「え?なにそれ。」
「あ!今馬鹿にしただろ?」
「してない!するわけないじゃん!
だって!それは…‼︎」
と言いかけてやめたのは…
「なにが大事なのかは思い出せないんだ」
てベンが言って背中を向けたから。
(あ…背中の傷。)
ベッドに腰を掛けてズボンを履く姿をみて
大きく背中に傷跡があることがわかった。
私はその傷を包み隠すようにカラダで覆った
「大変だったね…」
シャーペンは大事に持っててくれたのに
肝心なことは覚えてないんだね。
でも、「大事だ」って
言ってくれたこと、すごく嬉しかったよ。
「ゃわらけ。」
(…あ。また裸だったの忘れてた)
「もう!すぐそうやって茶化すんだから!」
すぐさま離れようとするとベンは
私の両手首を掴んだ。
「そのままで居て」
「でも…」
「いいから。」
力を緩めた…
そして、ベンの肩に顎をのせた。
ベンもまた私の手首を掴む指を緩めて
私の頬に手をあてた。
暖かい手のぬくもりと
左指のシルバーリングの冷たさを感じた。
ねぇ。
今なら聞いても罰は当たらないよね?
「指輪…」
「あぁ。うん。」
強引なキス。
私を強く押し倒す左手。
あぁ。うん。しか言わないのは?
どうして?
また私を抱こうとするのは?
どうして?
男の人が女の人を抱くのは
「愛してるから」だけじゃない。
だから、大人になればなるほど
純粋さだけじゃなくなるから分かりづらい。
私とベンの間にある
見えない糸が切れそうになると…
ベンはそうやって私を欲する。
私もまた
その細い糸が途切れないように
必死で繋ぎ止めようとするんだ。
そう…
言いかけたコトバを全て飲み込んで…。