きみの好きなところを数えたら朝になった。


「……バカみたい」

それは西崎に対して言ったのか自分に対して言ったのか、よく分からない。

私は濡れた身体のまま階段をかけ上がって自分の部屋へと行った。バタンッと勢いよくドアを閉めて、そのまま寄りかかるようにしゃがみこむ。


私は本当にバカだ。

叶うはずないのにずっと想いだけが消えなくて。

時間が経っても、気持ちは広がるばかり。


大丈夫、忘れられる。

泥沼なんかにハマッてない。

だから大丈夫。大丈夫。

忘れる、忘れる。

忘れたい。

忘れなきゃ。

忘れなきゃ、いけない。


ごめん。ただの好きなんてとっくに越えてた。


恋は怖い。知らない自分を次々と連れてくる。

どこが好き?なんて、そんなの私が知りたい。
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