きみの好きなところを数えたら朝になった。


***


そして次の日。いつもスマホのアラームにすぐ反応できるのに今日はできない。身体が重い。頭が痛い。


「38度。完璧な風邪だね」

ピピと音が鳴った体温計を見てお父さんが言う。


「学校には連絡しとくから。それから今日も仕事が遅くなる予定だけどなるべく早く帰ってくるからね」

「……朝ごはん用意できなくてごめんね」

「そんなこと気にしなくていいから今日はゆっくり寝てなさい」

そう言ってお父さんは仕事に出掛けた。


……昨日すぐに濡れた身体を温めなかったせいだ。風邪なんて滅多に引かない体質だったのに最近は心と一緒に身体まで弱くて困る。

そのうちパタンと玄関の音がして、どうやら西崎も学校に行ったみたいだ。

……あんなヤツもう知らない。まるで私は子どものように布団に丸くなる。時間も気にせずにそのまま二度寝をして、お昼にはせっちゃんから電話があった。


せっちゃんは『最近澪は気が張りすぎてるから少しは休んだほうがいいよ』と言ってくれて、せっちゃんの声を聞くだけで元気が出た。

……またせっちゃんと買い物に行きたいな。

そのためには早く風邪を治さないと。
< 116 / 170 >

この作品をシェア

pagetop