きみの好きなところを数えたら朝になった。


一日中家にいるのは暇だと思っていたのにやっぱり具合が悪いせいかずっと眠気に襲われて、気づけばもう夕方の時間。

……今日の晩ごはんどうしよう。

その前に朝からなにも食べてない。まだ食欲が出ないけど、なにか食べないと薬が飲めないし。

考えて、こういう時はゼリーがいいと閃いたけど残念ながらうちにゼリーはない。帰りに買ってきてとお父さんに連絡しようとしたけど、それだと夜になる。

寝転がりながらスマホをにらめっこ。
――と、その時……。

ブーブーとスマホが手の中で振動して、画面には【着信 須藤先輩】の文字。


『も、もしもし』

ビックリして少し声がうわずった。


『澪ちゃん?風邪大丈夫?』

電話越しに聞こえる先輩の声は優しかった。


『はい、なんとか……』

『今日学校で一度も見かけないから気になって瀬山さんに聞いたんだ。熱はまだあるの?』

『朝に比べたらだいぶマシになりました』

『そっか。ご飯は食べた?』

『実はなにも。本当は今日買い物に行く予定だったので冷蔵庫になにもなくて』

『じゃあ、俺がなにか買っていこうか?』

『え、そ、そんな……』

『なにがいい?ゼリーとか簡単に食べられそうなやつ買っていくよ』

どんどん話が進んでしまい、結局りんご味のゼリーを先輩に頼んでしまった。
< 117 / 170 >

この作品をシェア

pagetop