きみの好きなところを数えたら朝になった。
「え、本当?うち妹がいるからいつもこうしてるよ」
「妹さんいたんですか?」
そんなの初耳だ。むしろ先輩と色々な話をするくせにお互いのプライベートなことってあんまり話してなかった気がする。
「うん。まだ小学3年生」
「けっこう歳が離れてるんですね」
「そうそう。頑張るよね、うちの両親も」
あはは、と砕けた笑い方をした先輩は初めて見た。いつも雲の上のような意識で見ていたから先輩の家族のことを知ってなんだか存在が近くに感じた。
「だから風邪とか聞くとけっこう張り切っちゃう。おかゆも作れるし妹の世話で慣れてるから一晩中付きっきりでも平気」
「はは、先輩って世話好きだったんですね」
「自覚はないけどそうかもね。だからちょっと危なっかしい人とか心配になるような人は放っておけない」
先輩の目が急に優しくなってニコリと微笑む。
……それってもしかして私のこと?
私って危なっかしくて心配になる?そんなフラフラしてるつもりはないんだけど、先輩は妹を世話するような感覚で私のことを見ていてくれたのかな……。
「まあ、でも澪ちゃんは妹ではないけどね」
また私の心の中を……。
先輩は超能力が使えたりするんだろうか。
「普通に大事な女の子」
ドキドキと胸の鼓動が速くなる。熱と自分の部屋というシチュエーションがさらにそれを加速させた。