きみの好きなところを数えたら朝になった。


さっきのゼリーをいらないと決めつけられた意味が分かった。知ってるんだ。先輩が同じゼリーを持ってきてくれたことを。


「……立ち聞き?悪趣味だね」

「いや、ドア半開きにしてイチャついてたのはそっちじゃん」

「は?イチャついてないし!」

自然と声が大きくなる。


西崎とは昨日から上手くいかない。言葉が重ならなくて、喋れば喋るほどイヤな方向にいく悪循環。

……もう、なんでこうなるの。

身体の血の気が引いていく。これは風邪が原因じゃない。頭がくらっとしてそのままよろけてしまった。


「……あぶねっ!」

西崎に身体を支えられて、触れられた場所から熱が帯びていく。


「まだ大人しく部屋で寝てろよ。あとで薬とポカリ持っていくから」

さっきまで私に対して嫌味を言ってたくせに今度は心配。だから気持ちが追いつかない。

イライラする。


「……うるさい!なんなのもう!突き放したり優しくしたり!だから、だから私はっ……」

西崎を睨みつけて私は再び自分の部屋に籠った。
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