きみの好きなところを数えたら朝になった。
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恋は落ちるもの。
だったら落ちたほうが負けなんだろうか。
私も西崎も。
「宣戦布告だね。どうするの?」
その日の昼休み。私は食欲が一気になくなったっていうのに、せっちゃんは他人事だからか何故か楽しそう。
「いや、宣戦布告もなにも私に勝ち目なんてないじゃん。傷口に粗塩を塗られただけだよ」
普通にあのときの桃香ちゃんは怖かった。あれは負けるわけないっていう絶対的な自信。
「まあ、桃香ちゃんの腹黒さはなんとなく分かってたけど、まさか西崎がそれを知ってて付き合ってたとはね」
せっちゃんもそれには驚いたみたいだ。
私だってまだ信じられない。だけど今私の瞳には中庭で楽しそうに話している西崎と桃香ちゃんが映ってる。
ドアを半開きにして私にイチャついてた、とか言ってきたくせに自分は公共の場で堂々とイチャイチャしてる。
桃香ちゃんは西崎の腕に手を絡ませて、西崎は周りの冷やかしに顔を赤らめていた。
「澪も大変な恋をしちゃったね」
ふたりを見つめる私を見て、せっちゃんがポンポンと頭を撫でてくれた。