きみの好きなところを数えたら朝になった。
私と西崎が幼なじみ……のような関係だったことを知っているのは数人しかいない。せっちゃんとあとは同中出身の人と何故か西崎と友達の岸田くんぐらい。
例え関係が過去のものでも私にとってトップシークレットであり、西崎とは学校で話すことも目も合わすこともない。
だからこうして教室でせっちゃんと西崎の話をしてるなんて、ちょっと気持ち悪いぐらい。
「そんな面白いことがあったなら私も呼んでくれたらよかったのに」
せっちゃんは他人ごとのように笑って、朝ごはん代わりの野菜ジュースを一気に飲み干した。
全然私は笑える状況じゃなかった。むしろ西崎がいるってだけで眠れなくて結局寝落ちしたのは朝方だったし。
「でも意外だなー」
「ん?なにが?」
せっちゃんの言葉に返事をしながら窓の外に目を向けると、A校舎とB校舎を繋ぐ渡り廊下で西崎が同じクラスの5組の人たちとなにやら騒いでいた。
うおー、とか雄叫び上げてるし、なんで男子ってあんな感じなのかな。
「だって西崎ってああ見えてめっちゃ空気読むっていうか、勉強は別にして賢いところとかあるじゃん?」
「要領がいいだけじゃないの?」
「そうかもしれないけど、そんな西崎が一番迷惑かけそうな澪のところに行ったのが私的にはすごく意外」
せっちゃんは野菜ジュースのパックを潰して、それを遠くのゴミ箱へとロングシュートを決めた。