きみの好きなところを数えたら朝になった。
久しぶりの再会に喜んだあと、私たちは途中まで一緒に帰ることになった。
「ごめんね。柊也が色々迷惑かけてるでしょ?」
「いえ。それよりおばさんのほうこそ大丈夫ですか?火事大変だったみたいで」
「うん。なんとかね。本当に人生なにが起きるか分からないわよねー」
西崎のお父さんも会社に寝泊まりしながら元気にやってるそうで安心した。
「来週には改装工事が終わるらしいから、あともう少しだけ柊也をよろしくね」
おばさんの言葉に私の心臓がドキッとする。
「来週ですか……?」
「あら、柊也から聞いてない?」
全く聞いてないし、そもそも最近はそれどころじゃなくて家のことについて話す時間もなかった。
……西崎が家に戻る。
居候生活なんて長く続くと思ってなかったし、むしろ最初のころは西崎と一緒に生活するなんて耐えられないって思ってた。
全然私の言ったことは守らないし、私のやることが倍に増えるし。だから早く改装工事が終わらないかなって願ってた時期もあった。
それでも西崎が家にいる生活に慣れていって、リビングでソファーに座りながら「おかえりー」と言ってくれることに少なからず安心感を覚えていた。
幼なじみという関係を自ら断ち切って、西崎との繋がりなんてなくなったと思っていたけど〝ひとつ屋根のした〟という奇妙な関係が私たちの新たな繋がりになっていた。
それが終わる。
それすらも終わったら、私たちにはなにが残るの?