きみの好きなところを数えたら朝になった。


たしかに西崎が私を頼ってくるなんて本来ならありえない話。

そんなの1ミリも想像してなかっし、昨日のドアの覗き穴から見えた西崎の顔の衝撃はここ最近経験した中でも一番ヤバかった。普通に心臓とまるかと思った。


「私はもう知り合った頃からアンタたちは幼なじみってことを隠してたし、あんまり仲いいところなんて見たことないんだけど、昔は普通に話したりしてたんでしょ?」

「……まあ」

私の声がまた小さくなった。

それでもせっちゃんの追及は止まらなくて、西崎のことなんて興味はないだろうけど私たちが幼なじみだったということにはかなり関心があるみたい。


「なんでこうなったわけ?」

なんで、と聞かれても困る。


そんなの自然にっていうか、そもそも幼なじみに対してみんなどこかキラキラした印象を持ちすぎだと思う。

私たちみたいに仲が良かったのは昔だけって人も大勢いるだろうし。

幼なじみなんてものはみんなからからかわれる対象になるだけだし、男女関係に敏感な周りの人たちを刺激したくないっていうか。

西崎とは別に当たり障りない普通の知り合いぐらいが丁度いいと思って……とかは嘘。


こうなったのは、なんでだっけ?

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