きみの好きなところを数えたら朝になった。
拭いても拭いても溢れてくる涙。
諦めなきゃいけない。覚悟をしていたはずなのに、やっぱりツラい。
――と、その時。
ガサッと地面が擦れる音がして私は慌てて顔をあげた。涙でぼやける視界に映ってる人。
それは……。
「澪ちゃん」
須藤先輩だった。
なんで先輩がここにいるのか分からない。ビックリしすぎて涙は止まったけど、目を擦りすぎたせいでヒリヒリ痛い。
「ど、どうしたんですか?」
あえて明るく振る舞った。
「澪ちゃんに渡したいものがあって近くまで来たんだ。そしたら公園に澪ちゃんが座ってたから……」
そういえば学校を出てからスマホを一度も確認してなかった。きっと連絡してくれただろうけど全然気づかなかった。
「私に渡したいもの?えーなんだろう」
ベンチから腰を上げて必死で笑顔を作ると、先輩の手がゆっくりと私の頬に触れた。
「……泣いてたの?」
先輩の眉が下がる。
触れられた指先が優しくて、赤くなっている部分の痛さが消えていく気がした。
ただでさえ私は先輩に甘えてるっていうのに今は少し優しくされただけでまた涙腺がゆるんでしまう。