きみの好きなところを数えたら朝になった。


「私、桃香ちゃんって本当は素直で優しい子だと思ってるよ」

「はは、なんですか急に。止めてくださいよ。
そういう善意の押し付けって鬱陶しいだけです」


それでも、最初に会ったときから桃香ちゃんは礼儀正しくて、うちに遊びにきた時はちゃんと靴を揃えて手作りのお菓子まで作ってきてくれた。

それがどこまで計算だったのかは分からない。

もしかしたら私への当て付けでやってたかもしれない。でも……。


――『先輩こそ、大丈夫ですか?お怪我はありませんか?』

偽る必要がなかったあのとき。

廊下でぶつかった桃香ちゃんは私のことを本当に心配してくれていた。

< 156 / 170 >

この作品をシェア

pagetop