きみの好きなところを数えたら朝になった。
「怒られる前に弁解しとくけど普通に持って帰る荷物忘れたからお前ん家に取りにきただけ」
西崎はまるで言い訳をしている子どもみたいな顔。
西崎の耳には右にひとつ、左にふたつピアスが開いていた。
そんなのいつ開けたのか、むしろそこにピアスをしている西崎なんて私は知らない。思えばこんな風に向かい合って喋ることもなかったから、コイツの身長がこんなにも伸びていたことに今さら驚いてるわけだけど。
「じゃあ、さっさと帰ってよね」
私は西崎の言葉を冷たくあしらって、家のカギを開けた。
西崎は「悪いな」と言ってバタバタとまた家の中に上がり込んで、履いていた靴は両方裏返しになっている。
こういうのは直さないと気が済まない性格だけど、どうせすぐに帰るしと見てみないフリをすることにした。