きみの好きなところを数えたら朝になった。
***
――♪♪♪
耳元でスマホのアラームが鳴っていた。設定音は元から内蔵されているテンポのいい木琴みたいな音。
別に気に入ってるわけじゃなく、枕元で鳴っても不快じゃなさそうなやつを選んだだけ……って、今日は休みなのに解除し忘れてた。
……最悪。
私は眠りから覚めていない頭で設定をOFFにして、また目を瞑った。再び寝落ちする寸前で今度は〝ピンポーン〟と家のインターホン。
お父さんが応対するだろうと思いながら私は無視。
――ピンポーン、ピンポーン。
ああ、そういえばお父さん今日は早番だって言ってた。
――ピンポーン、ピンポーン。
どうせ新聞の勧誘でしょ。
――ピンポーン、ピンポーン。
それにしてもしつこくない?今何時だと思ってんの。常識なさすぎ。
――ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン。
「ああっ!……もう!!」
私は堪らずにベッドから起き上がって階段を駆けおりた。誰だか知らないけど本当に迷惑。私がイライラしながら玄関に向かってる間もインターホンは鳴り止まなくて、ひと言文句ぐらい言っても許されると思う。
勢いのままドアノブに手をかけたけど、怪しい人だったらまずいと一応覗き穴を確認。
そこにいたのは見覚えのある顔。
……え、なな、なんで?
5秒くらい時間が止まって、それでも耳障りなインターホンは止まらないから私は恐る恐るドアを開ける。
「なにか用?」と言い終わる前の〝な〟の時点でグイッとドアを掴まれて、そいつと目が合った。
「雨宮。今日からお前の家、貸してくんない?」
「は?」