きみの好きなところを数えたら朝になった。
玄関のドアが開いて、西崎の身体が半分夕日に染まる。他人だけど他人じゃない。他人にはなれないけれど幼なじみとは呼べない私たちのドライな関係。
それでも。
「ねえ、行くとこないならうちにいれば」
私はなにを言ってるんだろう。自分でもちょっと理解できない。
「え?」
外に出ようとした西崎がビックリした顔をしていた。それはまるで鳩が豆鉄砲を食らったような顔。
「私のルールに従うっていうなら別にいいよ」
玄関の段差で今は私のほうが少しだけ西崎より背が高い。だからまた神様になったつもりで上から目線。
「い、いいって……?」
西崎の頭にはハテナマークがたくさん浮かんでるみたい。だから私はイライラする。
「あーもうっ!だからさ!アンタに私の家を貸してあげてもいいってこと!」
きっと今言ったことを私は2秒後には後悔すると思う。
それでも西崎が嬉しそうだったから、まあ、知り合いとして同情ぐらいはしてあげる。
そしてこの瞬間から西崎と私の、
ひとつ屋根のした生活が始まったのだった。