きみの好きなところを数えたら朝になった。
TIME OF MYLIFE 彼女
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わが家の大黒柱は勿論お父さんだけど、この家で一番権限があるのは私と言っても過言ではない。
だから私の言ったことには従ってもらう。それがうちに居候するための条件。
「あのさ、昨日トイレの便座が上がってたんだけど」
朝からこんなことは言いたくない。まだ目玉焼きを焼いたフライパンは洗ってないし髪の毛だってちゃんとしてない。だから私は暇じゃない。
「……え、あーうん、わかった。わかったんだけどさ」
忙しい私と違って西崎はすでに制服に着替えて、ずいぶん前から時間をもて余していたのは知ってた。
「それ今言う?」
そして西崎がトイレに座ってるところにお説教しにきたというわけ。
うちではお父さんも座ってするルール。だって掃除するのは私なんだし。
私も朝から西崎のトイレ姿は見たくない。でも気づいた時に言わなきゃ忘れちゃうし、ドアだってネズミが入れるほど少しだけ開けっぱなしになってた。それも西崎の悪い癖だ。
「とりあえず気をつけてよね!」
バンッと扉を閉めると向こう側で西崎のため息が聞こえた。