きみの好きなところを数えたら朝になった。
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「へえ、上手くやってんじゃん」
「せっちゃん、私の話聞いてた?」
せっちゃんはしっかり者だけど意外とマイペース。私はすぐに切羽詰まることが多いからせっちゃんのポジティブ思考な性格に助けられてる部分は多いんだけど……。
「なんか楽しそうだし」
「楽しくないよ!むしろせっちゃんが西崎のこと泊めてあげてよ!」
「はは、ムリムリ」
こんな噂をされてるとは知らない西崎は中庭で楽しそうにドッジボールをしていた。私の席から中庭は丸見えで、声も丸聞こえ。
顔を窓の外に出さない限り下からは私たちのことは見えないだろうし、そう考えると誰が見てるか分からないから中庭でおかしなことはできないなって思う。
「西崎って見た目にはけっこう無頓着なのになんでモテるんだろうね?」
私と同じように中庭を見ながらせっちゃんが言う。
たしかにアイツは昔からモテる。頭はバカだけど運動神経は良いし、誰とでも分け隔てなく仲良くなるから今も上級生や下級生とも友達が多い。
「顔がいいからかな?」
「さあ」
「飾らない性格がいいとか?」
「さあ」
「ところで西崎のこと〝須藤先輩〟には言った?」
「……え?」
思わず「さあ」と流してしまいそうになったけど、そこはなんとか踏み留まった。