きみの好きなところを数えたら朝になった。
先輩と仲良くなったキッカケは去年の体育祭だった。救護係だった私のところに足を擦りむいた先輩が来て手当てしたのが始まり。
顔は知ってたし名前も知ってた。
先輩が部活に出るとグラウンドにはファンが駆けつけるほど有名で、おまけに高身長で頭もいいから女子たちが放っておかない。
見た目がそんなにパーフェクトならさぞ性格は難ありだろうと思いきや全然性格も完璧で、先輩以上に気遣いができて優しい人を私は見たことがない。
人の欠点ばかりが目に入ってしまう私だけど先輩に対してイヤなことはなにひとつないから、一緒にいると落ち着いてすごく穏やかな時間を過ごせるんだけど……。
「せ、先輩が私のこと好きとかないよ!」
普通にありえない。
体育祭からなんとなく話すようになって今ではこうして遊びに行ったりするけど、ない。絶対にない!
「……って、否定してる側から連絡きてますけどね」
せっちゃんが頬杖をつきながら意地悪な顔をしていた。
机に置かれたスマホにはタイミング悪く須藤先輩からのライン。
【本屋に寄った帰りに寄り道してクレープ屋にでも行こうか。澪ちゃんが前に行きたがってたところ】
……先輩って本当に優しいなあ。甘いもの苦手なのにいつも私の気持ちを優先してくれるし。
ぽちぽちと先輩に返事を打ってると、なにか言いたそうにせっちゃんがニヤニヤしてて私は一喝。
「だからないって!普通に先輩とは友達だから!」
それでもせっちゃんは全然納得してないって顔をしてたけど。