きみの好きなところを数えたら朝になった。
「……ハア。先輩、遅れてすいませんでした!」
須藤先輩はすでに昇降口で待っていた。走ったから髪の毛はボサボサになってると思うけど、それでも先輩は気にせずにニコリと笑う。
「ううん。大丈夫」
そして「行こう」という先輩の合図に私たちは校舎から出た。
「結局呼び出しってなんだったの?」
「ああ、課題の出し忘れで」
「はは、俺もよくやる」
須藤先輩の身長はおそらく180センチぐらいあって、私より頭ひとつぶん以上大きい。普段はコンタクトだけどたまにこうしてメガネ姿の時もあって、その体格や骨格は同級生の男子より遥かに大人だ。
先輩はモテる人だから先輩のファンから嫌みを言われることもあるけど『あの子なら大丈夫だよ』と大多数が言ってることは知っている。
つまり私は妬まれる対象ではなく、誰がどう見ても先輩は私なんて好きにはならないと安心できるレベルだってこと。
自分でも自覚はしてるけど、さっきの女の子みたい誰がどう見ても美少女だったら人生変わってたと思う。
一度でいいからお姫さまのような扱いをされてみたい。そんな願望はこんな私でもあったりする。