きみの好きなところを数えたら朝になった。


そのあと予定どおり本屋に行って先輩は難しそうな参考書を買った。先輩はすでに行きたい大学を決めていて、ちゃんと将来のことを考えている。

真面目で誠実で、みんなから頼りにされてて。年齢はひとつしか変わらないのに背伸びしても追いつけないほど先輩はしっかりしている。


「澪ちゃんはどれにする?」

その帰りにクレープ屋に立ち寄った。

小さな移動式の白いワゴンがお店になっていて、見た目もメニュー表も可愛い。学校で美味しいと噂になってたからいつか来てみたいと思ってた場所だ。

辺りには甘い匂いがすでに充満していて、メニューの種類がありすぎて本当に迷う。

私は悩んだ末にやっぱりお昼から決めていたバナナチョコホイップにして、先輩は甘すぎないビターチョコレートのクレープを注文した。


感想は言うまでもなく、ほっぺたが落ちるほどの美味しさ。これだったら余裕で3つはいける。


「どう?澪ちゃんずっと行きたがってたもんね」

「すごく美味しいです!」

「なら、良かった」

ふたりで仲良く食べ歩きをして、先輩は公園の前に停まるバスに乗っていつも家へと帰る。
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