きみの好きなところを数えたら朝になった。


情報量がありすぎて私のほうがぷちパニック。

待って待って。えっと、情報を整理すると昨日めちゃくちゃうるさかった消防車はコイツのマンションに向かってて、その火元がコイツの家の隣の人で、火事で部屋が壊滅してヤバい状況になってるということで合ってる?


「え、普通に大丈夫なの?ケガとかさ」

「あー平気平気。早い段階で火災報知器作動してマンションの住人全員逃げたし、親父も母ちゃんも俺も無傷」


それを聞いてホッとしつつも、まだ分からないことがひとつだけ。大変なのも緊急事態なのも分かったんだけど……。


「で、なんでうちに?」

そう、問題はそこ。


「なんか壁紙とか天井とか床とか全部改装しないとダメらしい。だから被害は俺の部屋だけだったんだけどうちに住めなくなって親父は会社で寝泊まり、母ちゃんは知り合いの人のところに行くことになって」

「なって?」

「だから俺はお前の家に……」

「いやいやいやいやいや」

こんなに連呼したことないぐらい繰り返してしまったけど、ここは同情とか可哀想とかは全部抜きにして。


「お、おかしくない?なんでうちなの?」
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