きみの好きなところを数えたら朝になった。
たぶんこの動揺はせっちゃんと先輩には気づかれてない。
「っていうか、てっきり澪は知ってると思ってた」
「悪かったね、知識不足で」
人の色恋沙汰に興味がないせいで全然無関心だったけど、どうやらあのふたりが付き合ってることは学校ではけっこう有名だったらしい。
なんだか自分だけ蚊帳の外にいるような気分。
「西崎の彼女の名前、なんて言うの?」
「たしか渡辺桃香ちゃんだよ。なんかクォーターの血が混ざってるらしいよ。だからあんな綺麗な顔してるのかな。普通にズルいよねー」
せっちゃんが羨むなんて相当なものだ。
……渡辺桃香ちゃん、か。
ああ、そうか。これで今朝西崎が言いかけてた言葉が分かった。
『居候のこと、桃香に言っていい?』
私にそう聞こうとしてたんだ。