きみの好きなところを数えたら朝になった。
そして次の日。西崎は相変わらず目玉焼きとウインナーとご飯を2杯おかわりした。
「あ、今日も仕事が遅くなりそうだから」
お父さんが塩分ひかえめのお味噌汁を飲みながら言う。最近お父さんは毎日のように帰りが遅い。体調が心配だけど、こうしてお父さんが頑張ってくれるおかげで私は生活できてるから本当に感謝してる。
私たちより先に家を出るお父さんはお母さんの仏壇に手を合わせて今日も仕事に出掛けた。
「なんかおじさんに頼りっきりで申し訳ないよな。俺も居候の身としてバイトでも始めようかな」
「うちの学校、バイト禁止じゃん」
「そうなんだけど……」
パーマや髪染めは黙認してるくせに今どきバイトが禁止なんて本当にありえない高校だと思う。
社会勉強も必要だって言いたくなるけど、以前バイト関係で生徒が大きなトラブルを起こしてから全面的に禁止になったと噂で聞いた。
「あとさ、俺も今日は遅くなる」
西崎が思い出したようにそう言った。
たぶんデートだと思う。だから昨日の電話であんなに嬉しそうにしてたのか。