きみの好きなところを数えたら朝になった。
たしかコイツは悔しいぐらい友達が多くてそれは男子も女子も。学校でも必ず誰かといるし、そういえばひとりでいるところなんて見たことがない。
だから私に頼らなくても泊めてくれる人がいるはずだ。そもそもなぜたくさん候補がある中で〝私〟が思い浮かんだのかが激しく謎。
「そりゃ1日、2日だけなら泊まらせてくれるヤツはいるよ?でも長期ってなると厳しいし、色んなヤツのところを転々とするのも疲れるし」
「……えっと、さっきから私の質問に答えてるようで答えてないんだけど、なんで〝西崎〟がうちに泊めてって言いにくるのかなって話なんだよね」
西崎、となんの詰まりもなくさらっと言えたことが自分でもビックリ。名前なんて久しぶりに呼んだ。
「泊まったことあんじゃん、昔は」
「昔ね」
「風呂場も洗面所もトイレも、なんだったら全部の部屋に入ったことあんじゃん」
「だから昔ね」
話が平行線のまま進まない。
すると私がするべきため息を西崎は深々として、まるで神頼みのように両手を合わせた。
「……マジで頼む!暫く、暫くの間だけ。お願いします!」
ちょっと頭を下げられていい気分、なんて思ってる場合じゃなくて。
「私に頼まれても困るんだよねー」
神様にでもなったつもりで上から目線。それに私には西崎を追い返せる自信がある。
だってお父さんがこんなこと許可するはずがないもん。門限には厳しいし、こういう男女がひとつ屋根のしたっていう危ういこと許すはずがないんだ、絶対に。