きみの好きなところを数えたら朝になった。


***


「ごめんね。また本屋に付き合わせちゃって」

「いえ全然。私も本屋大好きなんで」


放課後。また先輩と寄り道をすることになった。今日の先輩は珍しく私のクラスまで迎えにきてくれて、そこから校門を通り抜ける間まで女子たちからの視線が痛かったのは言うまでもない。


「ああいうのイヤ?」

「え?」

先輩の手にはスタバのアイスコーヒー。そして私の手にはキャラメルフラペチーノ。さっき本屋の帰りに買って今はぶらぶらと歩いているところ。

今日の先輩はコンタクトレンズでメガネをかけてないから表情が分かりやすい。


「教室に迎えに行くのとか」

先輩はそう言ってアイスコーヒーをひと口飲んだ。


たしかにあれはビックリしたというか、いつもは昇降口で待ち合わせなのにどうしたんだろうなって思った。だけど……。


「べつにイヤじゃないですよ。むしろ遠回りになって先輩が大変なんじゃないかって……」

「はは、そんなの大変じゃないよ!」

包容力があってしっかり者の先輩なのに笑うとどこか無邪気で可愛い。先輩は「イヤじゃないなら良かった」とホッとした顔をしてまたアイスコーヒーを飲んでいた。
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