きみの好きなところを数えたら朝になった。


すれ違う他校の学生たちがみんな先輩のことを見ていて「今の人カッコいい……」とため息まじりの声が聞こえてくる。

先輩はただでさえ背が高いから目立つし、余計に隣を歩く私がちんちくりんに思えて虚しい。

先輩はモテる人なのに全然気取らないし、むしろあんまり自覚がないみたい。まあ、ナルシストのように自分大好きって感じの人だったら私もこうして親しくなったりはしてないけど。


「ねえ、たまにはあそこ行かない?」

先輩が指さしたのは交差点の向こう側にあるゲームセンター。


「先輩ゲームとかするんですか?」

私はしょっちゅうせっちゃんと来て遊んだりしてるけど。


「たまに友達とやるよ。俺ゲームする人に見えない?」

「はい。全く……あ、すいません」

「なんで謝るの?俺けっこう堅いイメージに思われてるんだけど全然そんなことないんだよね」

「意外です……!なんか親近感が湧きました」

「親近感ってなに。今までそう思われてなかったなんてちょっと寂しいなあ」

なんだか今日の会話はすごく弾む。
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