きみの好きなところを数えたら朝になった。
「柊也先輩、どうしたんですか?」
「えっと……」
「澪ちゃんごめん。やっぱりあのウサギの抱き枕難しいかも。あ……」
そこに須藤先輩も加わって四人で仲良くにらめっこ。やっぱり桃香ちゃんは私のことを覚えてないみたいで、同じ学校の後輩として私たちに軽く頭を下げた。
ものすごく気まずい雰囲気。
普通ならここで西崎のことなんて知らん顔をして通りすぎるのがベストだと思う。でもこうして鉢合わせをして、なに食わぬ顔でゲームを楽しむのは少し気持ち悪い。
そして彼女の桃香ちゃんや先輩を誤魔化してるみたいで心苦しいというか、なんていうか……。
「ぐぐ、偶然だね……!」
考えて考えた末に妙に高いテンションを装いながら、私は話しかけてしまっていた。
「お、おう。偶然だな」
まるでおうむ返しのように答える西崎。
下手くそすぎだろ……!と思わず突っ込みたくなった。
「お友達ですか?」
桃香ちゃんがきょとんとした顔で私を見つめている。しかも可愛い首を傾げる仕草つきで。
……友達、ではない。
ただの同級生?ただの知り合い?西崎との関係を表すピッタリな表現が見つからない。
ここで嘘をつくのは簡単だ。でもきっと後々面倒なことになりそうだし、それを西崎も悟ったのか私の目を見てなにやら訴えてくる。
目だけで意志疎通できてしまったことにビックリだけど、ここは私が折れるしかない。西崎の意図を読み取った私は小さく頷いて、そのあと西崎が口を開いた。