きみの好きなところを数えたら朝になった。
そして帰り道。
先輩とはいつもの場所で別れるはずが「送らせて」という言葉に断りきれずに今は私の家に向かって歩いている。
辺りはすっかり暗くなっていて、空には珍しく無数の星が輝いていた。
「同じ家に住んでるとかビックリした」
先輩がぽつりと呟く。
西崎と鉢合わせになって居候のことを知ってから先輩は口数が少なくなった。事情が分からない先輩だけが蚊帳の外みたいになってたし……。
「す、すいません」
なにに対して謝ったのかは分からない。でもなんとなく怒ってる気がしたし、並んで歩いていても互いの足音ばかりが耳に響く。
「どんな理由でそうなったのか聞いてもいい?」
「え、は、はい。えっと、西崎の家が火事になってそれで改装工事が終わるまでの期間だけうちに居候することになったんです」
「なんで澪ちゃん家に?」
「も、もともと親同士に交流があってその繋がりで……」
曖昧な言い方をしてしまったけど嘘はついてない。
小さい頃は西崎の家族とうちの家族で出掛けることもあったし、遊園地やバーベキュー。泊まり掛けの旅行だって行ったことがある。
私たちの成長と共に出掛ける機会も薄れていってしまったけど、お母さんの命日には必ず西崎の両親からお花が届くし、今回の居候のことだってお父さんの元には『息子をよろしく』と連絡があったらしいから交流は途切れていない。