きみの好きなところを数えたら朝になった。
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世界が反転するとはまさにこのことを言うんだと思った。
朝起きても寝た気がしない。むしろこれは現実なのか夢なのか。どっちが上でどっちが下なのかさえ分からないまま。
「おい、お前は俺のトイレを覗くのが趣味なわけ?」
目の前には便座にしっかりと座っている西崎がいた。
ちゃんと約束を守ってる。居候らしくルールに従うようになってきたし、まだ直してほしいところはたくさんあるんだけど……。
「お前、大丈夫?」
「なにが?」
「制服のボタン全部ずれてるけど」
「へ?」
慌てて確認するとどうやったらこうなるんだろうってぐらいブレザーのボタンが1個ずつずれている。
しかもまだ髪の毛も起きた時のままだし、朝ごはんの後片付けもしてない……!
ヤバい。私なにしてたんだろう。
「ったく、寝ぼけてんじゃねーよ」
後ろでジャアア……と水を流す音がして西崎が呆れた顔で私のことを見ていた。