きみの好きなところを数えたら朝になった。


――『俺たち、付き合わない?』

そう言われたあと私はビックリしすぎて固まってしまった。

なにが起きたのか分からなくて、先輩の指先は熱いし、私の顔も熱いし、本当に世界が反転したようにグルグル回ってた。

そんな私を見て先輩が続きの言葉を言う。


『別に今すぐ返事をしなくてもいいよ。ごめんね。驚かせちゃって』

『い、いえ……』

戸惑う私に先輩は優しく気遣ってくれた。それでも握られた手は力強くて離そうとしてくれない。


『俺がそう思ってるってこと、ちゃんと覚えておいてね』


そして先輩の手がゆっくりと離れて、私たちはまた普通に歩きはじめた。もちろんその間なにを話したのか、どうやって家に帰ったのか記憶はない。


「せ、先輩ってなんで私のことが好きなんだと思う?」

ガタッと机から身を乗り出してせっちゃんに聞いてみた。


これはノロケでも自慢でもなくて。もっとキラキラして、もっと可愛い人はいっぱいいるのになんで私なのかなって。

それを本人に聞くことはできないから、勇気をだしてせっちゃんに聞いてるわけなんだけど……。
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