きみの好きなところを数えたら朝になった。


「んータイプだったんじゃない?」

「タタ、タイプ!?」

せっちゃんがさらりと言うから思わずおうむ返しのように聞き返してしまったけど。


「私は澪の見た目も中身も好きだから惹かれるのは分かる気がするけど」

思いがけず嬉しいことを言われて顔がにやけそうになってしまった。


「だいたい澪は自分のポテンシャルを分かってなさすぎだよ。普通に可愛い部類の人だよ」

「そ、そうなの?でも私全然モテたことないよ……」

「それは澪の意識がモテたいとか可愛く見せたいとか思ってないからだよ。〝アレ〟ぐらいやらないと男子は寄ってこないよ」

ふいにせっちゃんの視線が窓の外へ。


そこには中庭でドッジボールをしている桃香ちゃんの姿。もちろんそこには西崎もいて、みんなで楽しそうに騒いでいる。

西崎はボールを当てられてしまったのか外野にいて、コートの中には桃香ちゃんと数人の男子。

敵陣からボールを投げられるたびに「きゃー」と可愛らしい声をだして男子の後ろへと隠れる。

洋服をちょこんと掴んで小柄なのにさらに身体を小さくしてって……。


「あれって西崎がいるのにオッケーなの?」

一応西崎は彼氏なわけで、ボールを早々に当てられて外野になった西崎のダサさは置いておくとしても、けっこう桃香ちゃんはベタベタと他の男子にも触りまくっていた。
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